体温が作られる仕組み

体温とは生命活動の総和である。生命活動が活発になれば、体温も高くなる。運動をすると体温が上昇し、睡眠時は体温が下がる。

 体温の発生場所は細胞内の小器官ミトコンドリアである。

ミトコンドリアは元々、好気性の原核生物で、約20億年前に嫌気性細菌(腸内細菌のルーツ)の内部に侵入して共生の道を選択して、真核生物に進化していった。

ミトコンドリアは生物の細胞内に存在していてATP(アデノシン三リン酸)を生産している。ATPは生体高分子で細胞エネルギーの原料である。

ミトコンドリア内にある分子モーター(ATP合成酵素)が回転して、生命エネルギーの原料であるATP(アデノシン三リン酸)が生成されている。ゆえにミトコンドリアは細胞のエネルギー工場といわれている。ATPは必要に応じて合成され、残りは筋肉や脂肪組織に蓄えられることから、エネルギー通過ともいわれている。

ミトコンドリアはすべての細胞内に存在しており、人間の場合は、一つの細胞内に平均500から1000、脳細胞や心筋、小腸など主要臓器には約5000もある。しかし、年齢とともにATPの生産能力が落ちてくる。子どもの方が新型コロナウイルスに対する抵抗力が強いのは、細胞内のATPの量の違いである。

人間が動いたり、考えたり、恋をしたり(喜怒哀楽)できるのは、ひとえにミトコンドリアで生産されているATPのおかげである。ミトコンドリアが回転して作られる1日のATPの総量はそれぞれの体重に匹敵している。

ミトコンドリのATP合成酵素の研究でノーベル賞を受賞した科学者は、1931年以降8人にのぼる。それだけミトコンドリアは研究者の脳を刺激したのである。

 健常者で一つの細胞で消費されるATPの数は平均、1秒間で1000万個といわれている。体内で合成されるATPの数が体温となって現れている。年齢を重ねると次第に細胞のエネルギ(生命エネルギー)が減少していく。

 子どもと高齢者の差はミトコンドリアの回転能力の差であり、体温の差でもある。

アメリカのP.DボイヤーとイギリスのJ.Eウォーカーは電子顕微鏡でミトコンドリア内の分子モーターの回転を実写に成功(1994年ATP合成酵素機能解析でノーベル化学賞受賞)回転のモデルを考案したのが東京工業大学の吉田賢右教授

細胞内の発電所

ミトコンドリアの回転エネルギーには水の存在が不可欠である。ATP合成酵素の回転軸を動かしているのは代謝水である。代謝水とは細胞内で生成される水で、1日の生産量は約500ml、ペットボトル1本分である。加齢とともに代謝水の量も低下してくる。

 自然界では、水が生成する時にエネルギーが発生し、水が解離する時にエネルギーが凝縮される。

水の解離と生成

H2O⇔H+OH

(水分子)⇔エネルギー(プロトン&電子) 
矢印が←の方向の時にエネルギーが発生して水が生成
矢印が→の方向の時に水が解離して量子エネルギーが発生

身近な現象では雷放電がある。雷雲(水蒸気)生成と落雷の仕組みは、水の生成と解離現象そのものである。

地上から登ってきた温かい空気(H)と上空の冷たい空気(OH)が衝突して、雷雲(水)が生成する。

雷雲の中は、光、超音波、電磁気、放射線、宇宙線など自然界の全てのエネルギーが集合して膨大なエネルギーが発生している。雷雲は自然界の超大型の原子炉といえる。

雷雲の中でエネルギー生成が限界になった時に起きる現象が稲妻と落雷である。稲妻は1秒間に約1億ボルト、800kw、約3000℃のエネルギーを放出する。この時、雷雲の中の水分子が壊れて(解離)稲妻を伝わり、地上にプロトン(H)と電子(OH)の量子エネルギーを降らせるのである。

古来、雷の多くなる年は豊作になると伝えられてきた。

この雷現象の仕組みがが、私たちの細胞内に起こっているといったら、大抵の人は驚くか、半信半疑になる。

ミトコンドリアの内部に電子伝達系といわれている回路がある。この回路を水と食べ物由来のプロトン&電子が走り、水(代謝水)を生成している。

水が生成されるとエネルギーが発生する(雷放電の原理)。

このエネルギーによりミトンドリア内の分子モーターが回転して生命エネルギー(ATP)が作られている。生命エネルギー(ATP)は水発電エネルギーである。その仕組みは、水力発電のタービンが回転して電気エネルギーが発生するのと同じである。

科学者は生命エネルギーのメカニズムの解明に約90年を要している。ATP生成の仕組みは、カジノのスロットマシンに似ているらしいが、説明は簡単ではない。ここは、イギリスの著名な遺伝・進化科学者のニック・レーンの解説に頼るしかない。

「生物が生きるには途方もない量のエネルギーが必要となる。あらゆる生体細胞が用いるエネルギー「通過」はATPという分子でATPはアデノシン三リン酸を略したものだ。ATPはスロットマシンのコインの役目を果たす。マシンを一度回すエネルギーを与えるが、直後に動きを止める。ATPの場合「マシン」は一般にタンパク質である。ATPはある安定した状態から別の状態へ変化するエネルギーを与える。スイッチを上から下に倒すようにタンパク質ではスイッチが、ある安定した立体構造から別の立体構造に変化させる。スイッチをもとに戻すに、またATPが要る。スロットマシンをもう一度回すのに、コインをまた投入するのとまったく同じだ。細胞をタンパク質のマシンでいっぱいの巨大カジノと見なし、どのマシンもこのようにATPのコインで動くのだとしよう。1個の細胞は毎秒1000万個のATPを消費している。その数は息をのむばかりだ。人体にはおよそ60兆個の細胞があるので、代謝回転するATPの総量は1日当たり約60~100キログラムとなる。ほぼ体重に匹敵する量だ。実のところ、われわれの体内のATPは60グラムしかないので、どのATP分子も1分に一度か二度補充されていることが分かっている」(ニック・レーン「 生命、エネルギー、進化」)

体の中では、プロトンと電子は水と食べ物から取り出している。80歳まで生きるとして摂取される水と食べ物は膨大になる。健康維持のために、水は1日、約2・5~3リットルは必要である。1年に約1トン、80歳までの総量は約80トンになる。食べ物は1日平均約1kgとすると、1年に360kg、80歳までに約30トンになる。エネルギー効率は水が約80%、食べ物が約20%で水由来のエネルギーが優れている。排泄物は水の場合は尿という液体。食べ物は便という固形物。解毒と排泄に時間がかかる。解毒と排泄にもATPが消費されている。

ヒトの一生は解毒と排泄に追われ、へとへとになる。

生物の生命活動は、常に、水を中心にして行われている。水を壊し(解離)エネルギー取り出し、水を生成し、エネルギーを発生させている。生命活動に使用される水のエネルギーはプロトン&電子という量子エネルギーである。

生命力を高める水の条件は、エネルギー性の高い水(プロトン&電子リッチの水)解離水は量子エネルギーの豊富な水である。量子エネルギーにより、細胞の生命力が高まり、新型コロナウイルスに対する抵抗勢力になり得ると考える。

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