「朝食をしっかりと食べなさい」 
テレビに出演して、栄養学のうん蓄を語る先生方が金科玉条にしているアドバイスである。

ところが、「朝、起きたらしっかりと水を飲みなさい」という先生を見たことも、聞いたこともない。

私に言わせれば、体にとって、朝一番は、食べることよりも水を飲むことの方が最優先事項となる。なぜならば、夜、寝ている間に、汗と呼吸によって、体から失われる水の量は想像以上に多く、500mL以上、多い時には1リットルといわれている。それだけ、体(細胞)の乾燥が進行しているのだ。寝ている間に体重の約2%もの水が奪われている。朝食を食べている場合ではないのだ。    

普通、体重の約2%の水を失うと喉が渇くようになっているが、40代以降になると渇きを覚えなくなる。多くの人は、喉が渇かないから水は飲まなくていいと、とんでもない勘違いをしている。水不足による体内乾燥が、現代病(高血圧、腰痛、肩こり、頭痛、不定愁訴などなど)を引き起こす要因であることが分かってきた。  

渇きのサインは、バソプレッシンという成長ホルモンから発信されている。歳を重ね、成長ホルモンが少なくなると、渇きのシグナルは脳から送られるようになり、喉の渇きから痛み、しびれ、眩暈、耳鳴りなどにとって代わる。

これは一般には、知らされていない情報である。原因不明と思われていた痛み、痺れや倦怠感、体調不良は、脳が発信する水不足のシグナルであった。

体調不良で医者に行くと、ストレスや更年期障害と診断され、クスリを出される。

そういう人は、医者にかかる前に体の水不足を疑い、即、水を補給して欲しい。

最近、過食によって起こる体へのリスク(肥満、胃腸障害など)についての研究報告は、見かけるが、水不足が原因で心身に起こる障害の研究報告は無いのに等しい。

その結果、多くの人は体が水不足になっているとは、感じていない。さらに、水と水分の違いを理解していない。

体(細胞)が必要としているのは水そのもの(水分子)であることを知らされていない。

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