コロナ禍にかまけて、しばらく水の歳時記を書くのをさぼっていた。
前回は確か、梅雨時だったのに、あっという間に秋も深まろうとしている。

目下、紅葉前線は南下中で、青森の八甲田の山々を真紅に染め上げている頃だ。

日本列島の四季の移ろいは、南から始まり、北へ向かう。
春は梅・桜、秋は紅葉と、多少のズレはあるが、太古の時代からそうなっている。熱帯や砂漠、寒冷地には四季がない。
地球物理学の研究者から聞いた話がある。

日本列島の地表から約200mの地点に地下水が流れている。
地下水は地中の水脈と繋がっており、枯れることはない。
列島に生息している微生物、昆虫類、動・植物は、すべからく地下水の恩恵を受けている。この地下水が四季を演出しているという。

地下水の温度は、地表に近いところで、平均15℃である。

植物の多くは地下水の15℃を目安にして生きている。
発芽、開花、落葉などは地下水の温度によりスイッチがON.OFになる。

根を通して植物の遺伝子(RNA)が地下水から送られてくるシグナル(振動)を感じ取り、細胞内のIMP(内在性膜タンパク質)に伝える。地下水の温度が15℃以上になれば、発芽し、さらに開花へと進む。

秋になり地下水の温度が15℃以下に下がると植物も動物もそろそろ、店じまいの支度にかかる。 動物は冬眠の準備を始め、楓は葉への栄養供給を制限しはじめる(紅葉)。

さらにアルカロイドという毒素を送り、枯れ葉にして落としてしまう。
広葉樹も春が来るまで、身軽にして冬眠に入るのだ。

カテゴリー: 水の歳時記