蒸しパンの法則

小学校の頃は、自他ともに認める野生児だった。
野山を駆け巡り、川に飛び込み、日が沈むまで遊び呆けていた。そのうちに、お腹が減って、家路を走った。玄関先には甘い匂いが漂っていた。母特製の蒸しパンが待っていた。

昭和20年代の子供たちにとって、蒸しパンはオヤツの王様であった。蒸しパン容器は、弁当箱のような形をしていた。材料を入れてスイッチを入れると数分で周辺が熱くなってくる。

材料は水+ふくらし粉+砂糖+小麦粉。これが母の魔法であっという間にふっくらとした蒸しパンに変身した。蒸しパン器の仕組みを理科の先生に教わった(図解参照)。しかし、理解不能。仕組みが理解できたのは、中学生になってからだ。

容器の表面に掛かる電圧は容器幅と半比例している。小学生には反比例はレベルが高すぎた。容器の幅は自動調整式で最適の幅を見付けなければならない。幅が狭ま過ぎると中身が焦げついてしまう。広くなると電圧が低すぎて固まらず、蒸しパンは水っぽくなってしまう。

法則など知る由もない母の勘は名人級で、容器の幅はピタリと最適幅(10cm)に収まっていたのだろう。何枚作ってもふっくらとしていた。

細胞膜の法則

生物の体は細胞の集合体である。人間の大人で細胞の数は、約60兆個といわれている。この細胞膜にも蒸しパン容器の法則が存在している。

(注意)生体内の膜電位は、生体外の電圧に換算すると約30万倍になる。

細胞は脂肪の層(膜リン脂質二重層)で出来ており、外部から異物(細菌、ウイルス、水)が入り込まないように、厳重にガードされている。水の管理はアクアポリンという特殊なタンパク質が担っている。アクアポリンは、細胞の外と内をつなぐトンネルのような構造になっている。

トンネル内にAPボックスという内腔がある。ボックス内の幅は3×10-6cmという異次元のサイズである。ボックスの両側からプラスとマイナスの膜電位(電圧)が発生して、アクアポリンを通過してくる水を解離させている(図参照)。

膜電位はプラス、マイナス合わせて約120mV程度(乾電池の約12分の1)のエネルギー量である。APボックスの幅は超ミニサイズである。蒸しパンの法則が働いて、ボックス内には生体外の4万Vに相当する静電圧が発生して水を解離している。

エネルギーアップした水が、細胞内の小器官(ミトコンドリア)に運ばれ、分子モーターを回転させ、生命エネルギー(ATP)を生成している。  

電解槽の法則

フリーウオーターの電解層にも、蒸しパンの法則が生かされている。電極板近傍(電気二重層)の幅が小さいほど、高いエネルギー(電圧)が生まれ、水の解離が進むようになっている。

自然界で最も効率的なエネルギー生成の方法は電気分解である。電気分解とは、電気エネルギー(電圧)を利用した水分子の分解(解離)方法のことである。エネルギー効率は常に100%で、副産物もなく、クリーンエネルギーである。

大腸菌から動・植物まで、地球に生存している生き物は、水発電エネルギーを用いて生命活動を営んでいる。

生命活動のエネルギーを水から汲みだしているのが地球型生命の特徴である。水からエネルギーを取り出す方法が電気分解である。植物が行っている光合成から進化した仕組みである。

図のように電圧が発生する電気二重層の幅(蒸しパン容器の幅)と電圧は反比例している。電気二重層の幅は10-6cmという超ミニサイズである。ここに負荷される電圧は10V程度であっても、電極板1cm3当たりに発生するエネルギーは、コヒーレント効果(津波現象)などにより、107V(1千万ボルトの静電圧)に増幅される。

水分子を解離させるには、膨大なエネルギー(過電圧)が必要である。

水道水を解離させるには、さらにエネルギーが必要である。水道水には、約1千万種類の物質が溶けている(溶質)。溶質まるごと解離させるには、様々な工夫が必要となる(特許技術)。

我々が理科で学習した電気分解は、似て非なる方法で全く別次元のものである。

理科レベルの扱うエネルギーは約1.77Vである。決定的な誤解は、教科書の電気分解のスタートは電圧ではなくて、電流である。水に電流を流すだけでは大きなエネルギーは取り出せない。電流では、水を解離させるエネルギーは発生しない。化学反応止まりで、酸性液かアルカリ液しか生成しない(アルカリイオン生成器)。

正しい電気分解のスタートは、水に過電圧をかけるところから始まる。過電圧を掛けないと酸化還元反応(電子の授受反応)が起きない。電気化学の専門家は、高校・大学で扱う電気分解の書き換えを主張している。ほとんどの教科書は旧態依然の間違った電気分解の説明をしている。

フリーウオーター(解離水生成装置)の仕組みは、本来の電気分解の原理に則して製造されている。

フリーウオーターのヒントは、雷放電にあった。

雷放電の法則

雷は雷雲の中で発生する。雷雲は水蒸気(水)でできている。地上の暖かい水蒸気と冷たい水蒸気が急速に衝突して雷雲となる。

雷雲の中に自然界の全てのエネルギー(光、電磁気、超音波など)が集まってきてプラズマ(エネルギーの拮抗状態)状態となる。エネルギーの飽和状態が限界に達した時、雷雲の中に宇宙線が飛び込んできて、稲妻が発生し、落雷となる。

 地表と雲間のエネルギー量は、時には1億ボルト(静電圧)に達する。

放電路の幅は超ミクロで(蒸しパンの法則)、地上に接近するごとにエネルギーが高まる。

1回の落雷で流れる電流は約1万アンペア、平均20~30クーロンの電荷をわずか10万分の5秒で運ぶ。

放電エネルギー:1秒間に1億Vを放電路に放出

最先端科学を用いても、雷放電は再現できない。再現できれば、人工生命も可能となる。生命の基本材料である原始アミノ酸(G.A.D.V)は雷放電により作られたという説がある。

GADVとは生命の設計図━塩基の基本材料となるアミノ酸の種類を示している。

G:Glycine/グリシン A:Alanine/アラニンD:Aspartic acid/アスパラギン酸 

v:Valine/バリン

生命の起源を単純化すれば、塩基→アミノ酸→タンパク質となる。GADVから成るタンパク質が生命の起源となり、やがて遺伝子暗号として進化していった(池原健二・タンパク質ワールド)。

生命の基本材料は、雷放電が生成した雷水である。

雷放電を人工的に再現できれば、バリン(Valine)から人工血液を生産できる可能性もある。そして人工生命誕生につながるはずである。  フリーウオーターの電極板近傍(電気二重層)において、雷放電由来のプラズマが発生している。放電路を通過する水は瞬時に解離して、雷水に限りなく、近いエネルギー水となっている。

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